ページ

☆☆『人とミルクの1万年』(平田昌弘)


『人とミルクの1万年』



http://www.sankei.com/life/news/150207/lif1502070022-n1.html

『人とミルクの1万年』平田昌弘著

平田昌弘著『人とミルクの1万年』(岩波ジュニア新書)

バター不足の今、乳製品の歴史顧みる

 バター不足が深刻な昨今。バターの原料となるのはもちろん生乳で、そこから飲用の牛乳、生クリーム、チーズなどさまざまな食品に分岐する。日本は政策的な理由で保存性の低い牛乳や生クリームなどから優先的に加工するので、病害などで生乳の生産量が減少した場合、まず末端のバターに影響が出てしまうのだという。

 バターは、乳製品の中でも保存性に優れたものだ。生乳は栄養価が高く、人類にとって貴重な食品だが、そのままではすぐ傷むという難点がある。歴史的に見れば、乳製品の加工は、何より保存性を高めるためのものだった。

 本書によれば、人類が西アジアの乾燥地でヒツジやヤギを飼い始め、乳を利用するようになったのが約1万年前。それが各地に広がるにつれ、腐敗に強いバターオイルを発展させた南アジア、カビを利用した熟成チーズを生んだ西部欧州など、それぞれの気候に応じて特徴的な乳製品文化が形成されていく様子を、農学・人類学的な視点からたどっていく。

 昨年11月に初版1万部を刊行し、堅調な推移という。バター不足をきっかけに、人類と乳製品の長いつきあいを考えてみるのもいいかもしれない。(岩波ジュニア新書・880円+税) 磨井慎吾



☆☆

知的好奇心で読む類の書籍だろう。

7 days

30 days

365 days